1996年の日本映画です。寺田ヒロオさんの漫画をいろんな人に読んでもらいたいな、と思いました。
きっかけ
TVで放送してたので見ました。『トキワ荘』については漫画家さんがたくさん住んでたことは知っていましたが、誰がいたかはごく数人しか知りませんでした。
※以下、ネタバレあるので注意!
感想
切ない
『トキワ荘=才能ある漫画家がたくさん集まった所』というイメージがあったので、もっとギラギラしたワチャワチャした話だと思ってました。でもこの映画で描かれたことは違っていて、とにかく切なくて苦しかったです。
青春って「恋愛!友情!夢!YEAH!」みたいなイメージに毒されてましたが、こういうものを『青春』って呼ぶのかもしれない。
なんとなく、最近人の夢を軽く扱うようになってる気がするので(周りだけじゃなく夢を持つ本人さえも)もっと丁寧に扱って良い物なんだと気付かされました。
寺田ヒロオさん
この作品を見るまで知りませんでした。
この映画の主役です。「なんでこんなに寺田さんは良い人なんだろう?」と思うほど、良い人。映画を見た後、いろいろ調べたら本当に良い人すぎてビックリしました。
良い人なんだけど、自分の芯はしっかり持っていて『子供のために児童漫画を描く』という気持ちがとても強い。これが売れる商業漫画の流れと対立することになってしまうのですが、難しい問題ですよね。
私も(時代は違えど)子供の頃、だんだん子供向けより刺激的な漫画に惹かれていきましたし。大人になると、こういう漫画を子供に読んで欲しいって思うけどそれを子供が読んでくれるとは限らない。
あと、出版社に対しても「売れるから」で刺激的な漫画を売ることへの不満もありますよね。これは現代でもいたる所である問題だと思います。資本主義社会である限り、この問題は無くならないですね。
売れることはもちろん大事だけど、その物が社会を作っているということは決して忘れてはいけないと思います。
辛いけど、がんばる!
辛くてもがんばる!
支える家族の悩み
漫画家の家族って大変ですよね。それに漫画家って少ないから、悩みを相談したり共有出来る相手もそうそういないだろうし。
自分第一は仕方ない
協調性が必要な仕事ではないし、自分のことで精一杯ですよね。
水野英子さん!
水野さんもトキワ荘に行ったことがあるとは、知りませんでした。少女漫画好きなので、一番テンションが上がったシーンでした。(笑)
楽しい時はいいけど
同じ仕事をしている集団で生活するのって、すごく楽しいと思います。
でもこの映画では楽しい部分は少しで、悩んだり苦しんだり明暗が別れたりしていく姿が描かれていたので『楽しい→そうじゃ無くなっていく』に変化していく姿はかなりしんどそうでした。
そうなったら別れたほうが精神衛生的に良さそうですが、逆に孤独を深めたらそれはそれでまずい気もします。
映画として
低いアングルから撮った映像が多く、印象的でした。何でだろう?特にトキワ荘の外観は遠近法が不思議に感じられる構図でした。
あと、当時の音楽や写真を間にチョコチョコ挟んでその頃の空気感をより感じさせてくれました。写真や音楽で、「私が思ってるよりもっと昔の話なんだな」という風に頭の中で時代調整しながら見てました。
穴埋めの依頼
面白いなーと思ったシーン。編集者の人がトキワ荘の廊下で穴埋めの原稿依頼をしたら、いろんな部屋から「やります」って人が出てくるのが『トキワ荘』ならではだと思いました。(^^)
気になった言葉
『才能の引き出し』
もう一度見たい
見てる間も見終わった後も切なくて苦しくてもう二度と見ることはないだろうなと思いましたが、しばらくしたらもう一度見たくなりました。な、なんでだろう?(^^;)あと、登場する漫画家さんが多くてわからなかった人が何人かいました。これも見返したい理由です。(苦笑)
終わりに
この映画を見終わった後、寺田ヒロオさんの漫画を読みました。古さはありますが、大人が読んでも面白かったですし絵が可愛かった。それに寺田さんの作品に出てくる大人は優しくて、私はこういう「大人になれているだろうか?」と少し考えさせられてしまった。
そういう意味でも、今大人も寺田ヒロオさんの漫画から得るものはあると思いました。
あと、当事者の方々が書いた『トキワ荘』の話も面白そうなのでこちらも読んでみたいです。