今敏監督のアニメ映画『PERFECT BLUE(パーフェクト・ブルー)』。一度見てみたかった作品です。見て思ったことや感想などをつらつら書きたいと思います。
この作品は、R-15のサイコホラー映画です。(誰かと見るより一人で見たほうが良いかも・・・)ネタバレなど極力知らずに見たほうがより楽しめると思います。
感想
犯人は誰なのか?
こういう映画は「犯人が誰なのか?」を考えながら見ちゃいますね。私の推理は、
- 犯人は『ルミちゃん』
- いかにも怪しそうな『MI-MANIAさん』はただの純粋なファンで無関係(映画視聴者に犯人だと疑われるだけの人)
と考えて見てました。
実際、大本の犯人は『ルミちゃん』で予想通り。怪しい所がちょいちょいありましたからね。しかし、『MI-MANIAさん』は無関係な人では無く、ルミちゃんに操られて殺人を実行してしまった人でした・・・。
自分が大好きなアイドル本人じゃなくて、そのフリをした別人に操られて殺人をして、最終的には殺されてしまうのは可哀想ですが、こういう操られた人って殺人までにいかなければそこそこいそうな気がします。
あと、夢なのか現実なのかわからなかったけど、未麻に対する強姦未遂を実際にしていたなら『MI-MANIAさん』に対する同情心はありません。
何でそれをするのよ。
『ルミちゃん』のことは怪しいな~とは思っていたけど、動機がぼんやりとしか思いつかなかったので(アイドルとしての未麻のファンだったのかな?とか)、ルミちゃんが真犯人とわかってからの展開は読めなかったので楽しめました。
ルミちゃんの動機に関しては、1回映画を見ただけではわからなかったです。(社長とサラッと話してるルミちゃんの過去の話は、1回目には聞き逃してました)
タイトルの『パーフェクト・ブルー』意味
これは最後まで見てもわかりませんでした。
完璧な青?深い青?夢に落ちる?
主人公が夢と現実がわからない状況に陥ったことを意味してるのでしょうか?
それに対して、ラストでルミちゃんが着ていた衣装が真っ赤だったのが、対照的で印象に残りました。
エンディング
未麻が殺されるのは嫌だなと思って見ていたので、なんとか死なずに済んで安心したのと、未麻がルミちゃんを命がけで守ったのは意外でした。
ルミちゃんのことを信用していたし、作中では描かれなかった以上に2人の間の絆があったのでしょうね。自分を殺そうとした人を助けるって、なかなか出来ないな。私だったら、ルミちゃんが車にはねられるのをただ黙って見ていたかもしれない。
でも、ルミちゃんがそれで亡くなったら事件は迷宮入りだし、どうしてこんなことをしたかは聞きたいですね。
最後に入院中のルミちゃんを、女優の仕事が安定してきたように見える未麻が見舞って、ちゃんと自分は自分だと認識=女優の自分を受け入れられるようになった、というラスト。このラストは良いけど、未麻の明るさが最初見た時違和感ありました。
精神的に追い詰められて、殺されそうになった未麻がどうやってそこまでの状態になれたのか?というのを想像して補えなかったせいだと思います。何度か見たら、また印象変わるかな。
あと、エンディングがアイドルソングっぽくて、「そっちなんだー!」と方向性が想像していたものと全然違ってびっくりしました。個人的には、サイコホラーに雰囲気に合わせた、静かで怖い感じの音楽の方がしっくりきた気がします。
女優という職業に対して
元アイドルが女優に転身していくという今作ですが、女優転身後の初出演作でレイプされる役、その後はヘアヌード写真となかなかハードすぎますね。これは極端な例としても、こういうハードモードの女優さんは意識してないだけで結構いるんだろうな、とこの映画を見て初めて意識しました。
そういう転身をした女優さんの内面を知ることが無かったので、未麻が一人で泣いたり叫んだりしてるシーンは見ていてなかなか辛かったです。
アイドルが引退した後、脱いでる写真集出してるのはたまに見かけて「良いの?大丈夫?」と心配になったりすることはあります。先日も何気なく雑誌のコーナーを見てたら、『元◯◯初めての〇〇ヌード写真掲載』みたいなことが表紙に書かれてて、未麻のことを思い出しました。今もあるんですね。
この文化は無くならないのか、これで良いのかは、正直わかりません・・・。
2回目を見てみました
最終的には4回ぐらい見たのかな。何度も見て楽しめる作品でした。
特に、オーディオコメンタリーがとても面白く、たくさんの小話を聞きながらこの映画を見られたのは良かったです。もし、オーディオコメンタリー聞いたことない人いたら、是非聞きながら見て欲しい!
あと、事件ごとの犯人を予想してみました。はっきりと誰がやったのかわからないものもあります。
- 未麻への無言電話→ルミちゃん
- 未麻へのFAX→ルミちゃん
- 爆発した手紙→ルミちゃん
- アイドルファンのひき逃げ→ファンの男(内田)
- 脚本家殺害→ファンの男(内田)
- カメラマン殺害→ルミちゃん
- 血まみれの服を未麻の部屋に置いた→ルミちゃん
- 田所さんの殺害→ルミちゃん
田所さんは売れるために未麻にハードな仕事をやらせたけど悪い人では無いので、殺されてしまったのは少し悲しかったです。未麻のことを気遣う優しさが作中でも描かれていましたし。
3つの『未麻の部屋』
- 本物の未麻が住んでた部屋
- 未麻の部屋に似せたルミちゃんの部屋
- ネット上のHP『未麻の部屋』
この3種類の部屋があったことが、上手いな~面白いな~と思いました。上手く言葉で表現できないんですけど、未麻が部屋にいるシーンが多いですし、いろんな意味で『未麻の部屋』というものが作品内で上手く使われていたと思います。
尾形治敏さんのこと
映画の最後に、
この映画を故 尾形治敏氏に捧ぐ
という文字が出てきましたが、私は尾形治敏さんのことを知りませんでした。パーフェクト・ブルーの『編集』をやった人なんですね。
オーディオコメンタリーでは、尾形さんの話もされてました。最後のこの一文の意味がわからなかった人は、是非オーディオコメンタリーを聞いてみて下さい。
終わりに
DVDには、メイキングやパーフェクトブルー講座、オーディオコメンタリーと特典が多かったのも良かったです。
あと、サイコホラー作品なのは知ってたのですが、R-15で(撮影とは言え)レイプシーンや、ヘアヌードの撮影シーンがあったのは知らなかったので見ていて驚きました。なかなかアニメであそこまでの表現は見かけないですね。友達と一緒に見てたら、少々気まずかったかもしれません。