2002年のフィンランド映画です。かなり独特な作品だったのですが、これはフィンランドの文化によるものなのでしょうか?それとも監督の作り上げた世界なのでしょうか?
映画を見る前に・・・
この本を読むと、より楽しめると思います。片桐はいりさんがフィンランドのことを中心に書いた旅のエッセイです。この本自体すごく面白いんですが(親子亀の話は声出して笑った)、片桐さんが見て体験したフィンランドとそこで暮らす人たちのことが書かれているので、「フィンランドと言ったら、ムーミンとサンタクロースしか知らない」私は映画を見る上で役に立ちました。
あと、この『過去のない男』のちょっとした裏話もありました!
感想(ネタバレあり)
独特なテンポ
フィンランドでは当たり前なのか、監督が作ったものか私にはわかりませんでしたが、とにかくローテンションで淡々と繋がっていく物語が面白かったです。ドイツ映画に近いものを感じました。過度な演出は無く、それどころか「これはもっと驚くことじゃないの!?」というシーンも感情は程々。『わたしのマトカ』にも無表情で絶叫マシーンに乗るフィンランド人の話が書かれていましたが、フィンランド人って本当にこんな感じなのかな?
感情豊かに表現してる映画も好きですが、私自身テンションが低い人間なので惹かれる部分が多かったです。登場する人物、みんな愛しい。他のフィンランド映画も見てみたくなりました。(しかしレンタル出来るDVDはほぼアキ・カウリスマキ監督のものばかりなので、比較が出来るのかどうか?)
時代がわからない
古い建物や車が出て来るし、洗濯機は手動だし、主人公はホームレスだしで時代がさっぱりわかりませんでした。映像がキレイなのでわりと最近のはずだけど、戦後数年と言われても「そうかも・・・」と思ってしまうシーンもありました。この映画で『救世軍』のことを初めて知ったのも、その理由の1つです。軍と名がつくので、第二次世界大戦後?と勘違いしてしまいました。この映画がきっかけで調べましたが、日本にも救世軍あるんですね。
救世軍 – The Salvation Army Japan
フィンランドのことをなんとなく知れる
全然知らない状態で見たので、とにかく学ぶことが多かったです。フィンランド語が使われているので、単語もいくつか覚えました。(キートス=ありがとう、等)
デートで森へきのこ狩りに行ったり、男子トイレがSFみたいな形してたり、電車の頭の部分に枕が付いてたり。ただ、電車で日本酒と寿司を食べるシーンはこの映画の中だけなのか、フィンランドで本当に出してもらえるのか等「演出なの!?本当なの!?」とわからない部分も多々ありました。(笑)
面白いセリフ
いくつもありました。
人生は後ろには進まん 進んだら大変だ
木は落ち葉を嘆くかしら?
日本人の歌
電車で寿司を食べてるシーンで、クレイジーケンバンドの『ハワイの夜』が流れてました。急な日本語に戸惑う。(笑)そもそも、何で寿司と日本酒!?ってツッコミどころ満載でしたが、フツーに演じられてるので「フィンランドの電車で寿司が食べれるの?」とか、ここはシュールなシーンって事でいいのかな?とどう受け止めていいかわかりませんでした。/(^o^)\単純に言えば、日本が出てきて嬉しかったです!
あと、小野瀬雅生さんの「Motto Wasabi」はどこで流れたかわかりませんでした。
色んな国の『過去のない男』が見たい
記憶喪失の男が現れたら、その人に対する周りの人の態度って国によって大違いですよね。その違いが見てみたいので、色んな国の『映画:過去のない男』があったら良いなと思いました。
この映画の中では、フィンランドの人は時に厳しいけど基本的に優しい人が多く、温かい気持ちになりました。主人公が「自分は可哀想な人間だ」って悲観的にうじうじせずに、淡々と前へ前へと進んでいく姿に好感を持ちました。自分ももっとしっかりしないと!そんな気持ちにもさせてくれる映画でした。
終わりに
DVDのジャケットを見て「イタリアの『ひまわり』みたいな映画かな?」と予想したんですが、全然違って、違うどころか今まで観たことのない独特な面白い映画で最後まで楽しめました。
ラストも良いですね!あの3人組がまた出てくるとは思わなかった。(笑)